(嗚呼、あの時──、)


1人で帰っていれば。


用事か何かで一緒に帰れないとか。


何で、言わなかった……?


もう過ぎた事を、今更悔やんでも、どうにもなりはしない。


だったら……


(2人を守る……か)


出来るのか、俺に。


あんな化け物から。


俺は弱い。


弱いから……


そう──


気が強いのは、無力なのに強がっているから。


本当は怖いんだ。


だから、偽者の自分で、本当の自分を隠している。


そうでもしなきゃ、落ち着かない、落ち着けない。


自分の事さえも理解できていない癖に、誰かを守ることなんて……


(……出来る訳ねえだろ──)