その言葉を聞く限り、 この妖怪は俺達が此処へ来る事がわかっていたようだった。 向こうから仕掛けて来ないのを確認した父は黙って話を聞く事にした。 「魔狐の事は知っているな? 生まれた直後に殺される運命。 力がとても強い、異質なモノ。」 晴輝が生唾をごくりと呑む。 「先程、こいつが魔狐になろうとしたので止めた。 今は封じている。」 封じている……? 晴輝の父は疑問を抱いた。 「そして、我はその狐の一族のものだ」