「俺達は幼なじみで、俺はずっとあの人の事を思っていたんだ。でも仕事先の上司が、強引に……」


「でもセンセ。浮気にはチゲーネエヨ」
ワザとタメ口で言った。


「解ってるよ」
先生が俺の肩を叩く。

形は違うが、恋人同士が引き裂かれた。
先生も辛い人生を歩んで来たのだった。


「でもセンセ。親子と言うより、兄弟だね」


「後妻なんだ。奥さんが死んで、家政婦代わりに」


「なんか酷いね」


「偶然学校で再会した時は見る影もなかった。まるで別人だった」

先生はそう言いながら、胸ポケットから携帯を取り出した。
その中の一枚に彼女とのツーショット。
幸せそうに笑う女性に、ラブホで会った女性の面影はなかった。


「言い訳じゃないけど、放っておけなくて……」

先生は泣いていた。