イライラしたまま食事が進む。

 無意識に、またかきこむような状態になりかけた時。

「カイト…ここですか?」

 ドアが、開いた。

 はっ!

 声は――シュウだったのである。

 そうだった。

 カイトは忘れていたのだが、先週はすべて彼の車で会社に出社したのだ。

 最後こそ、自分の車で帰ってきたけれども。

 だから、今日もその予定でシュウはやってきたのだろう。

 部屋にカイトがいなかったので、わずかな可能性でこっちを見に来たのか。

 カチャリ。

 ドアが開く。

 シュウが、その眼鏡の顔をのぞかせた。

 視線が、室内をぐるっと一周する。

 途中、カイトのところと、メイのところで一旦停止した。

「おはようございます、カイト」

 しかし、メイがいることに、取り立てて驚いている様子もない。

 淡々とした口調だ。

「今日の出社はどうします?」

 私でしたら、もうすぐ出ようかと思いますが。

 てめー、知ってやがったな。

 メイが家政婦に来ていたことを、きっと知っていたに違いない。

 だから、全然存在に驚かないのだ。