彼女は―― そういう人なのだ。

 一番大事な言葉は、本人が言わないと。

 そう思っているに違いないのである。

「どうしてか…確かめてみない?」

 ハルコは、静かに慎重に、その言葉を綴った。

 メイは、一瞬怖がったように見えた。

 しかし、きゅっと唇を閉じて、ついにコクンと頷いたのだ。

「確かめ…たいです。でないと私、何か、ずっと一生後悔してしまいそうで…もうどうなってもいいから、ちゃんと確かめてみたいです」

 決意と、でも少し震える声。

「分かったわ、私に任せて…」

 ハルコはにこりと笑った。

 本当は、物凄く嬉しいに違いない。

 ソウマにはそれが分かる。

 この2人が、幸せになることをずっと願っている人間なのだ。

 深入りしすぎだと、警告しようと思ったのだが―― 気づいたら、自分も結構深入りしていて苦笑するハメとなった。

「とりあえずは、まず夕食ね…」

 妻が立ち上がろうとすると、メイが慌てた動きを見せた。

「あのっ! よければ、私、今からでも…」

 いても立ってもいられないというような彼女だ。

 今から?

 ソウマは、慌てた。

 いま、カイトがいるのは、病院なのだ。

 いや、病院に連れていくのは問題がないのだが、何故病院に入ったか説明をしないといけないだろう。

 それに―― カイトがいやがるに違いない。

 あの男のプライドは、本当に煮ても焼いても食えない種別のものだ。

 そのプライドにかけて、いまの姿は彼女に見られたくないハズである。

「急ぎたい気持ちは分かるけど、一番いい方法を考えてあるのよ…食事の後にでも、ゆっくり相談しましょう?」

 ね?

 ハルコも。

 カイトのことは、よく知っている。