メイが迷子になって、カイトが連れ戻して、そのままベッドに連れて行かれた、という言葉の後―― 未遂だったというのだ。

 風呂に沈めたカイトを思い出す。

 あれは、どう見てもひどい有様で最後までしてしまった、と言わんばかりだった。

 開いた口がふさがらない。

 未遂でも、ああなってしまうというのか。

 そこからは、顎がガクーっとなったままだ。

 メイの話を聞くのだが、どれも彼の顎を元には戻してくれなかった。

「呆れました?」

 しゃべり終わった後、彼女が心配そうに聞いた。

 何のことを指しているのかは分かっていたが、ソウマはまだ、自分の顎を元に戻せないでいたのだ。

 だから。


「あきれたぞ! 俺は!」


 に至ったというワケである。

 ようやく、双方の話を聞いて比較してみれば―― いかに、この2人が激しくすれ違っていたかが分かった。

 お互いのことを好きだったのに、カイトは「あいつにとんでもないことをしてしまった。嫌われて当然だ」と思い、メイの方は「ああ、私を見ていて辛いというのなら、出ていくしかしょうがないわね」と思ったのだ。

 だから、メイは出ていき、カイトはあの件が原因で嫌われたと思って、引き止めることも出来なかったのである。

 どれもこれも。

 カイトが悪い!

 ソウマの結論はこうだ。

 だから、2、3発でも4、5発でも殴らないと気が済まないのである。

 彼の言葉と態度が悪かったせいで、ここまで話がこじれてしまったのだ。

 カイトもボロボロなら、メイだってひどく悲しい思いをしたのである。

 帰ってきた時の彼女の目は、泣きはらしていた。それを見れば、バカでも分かる。