●164
自動ドアの向こうに―― ハルコがいた。
それが、昨日の夕方の出来事。
あの瞬間、メイはとても驚いたのだ。
まさか、こんなに早く見つかってしまうとは思っていなかったから。
彼女一人ではなく、ソウマも一緒だった。
何も変わらないあの夫婦が、自分を見ていたのだ。
ハルコが駆け寄ってくる。
メイが、彼女の身体を心配するより先に、いろんな言葉を投げかけられた。
突然の再会に、お互い戸惑っていた。
しかし、メイは仕事中だ。
たとえ事情を説明してくれと言われても、いまここで話すことは出来ない。
いや、どこに移動したとしても、どう説明をしたらいいのかなんて分からなかった。
ただ。
ここ数日、胸に靄がかかっていた。
その靄が何なのか、よく分からない。
巡査さんに、あの居酒屋に連れて行ってもらった日から―― いや、実はもっと前から小さな石が胸にあったのだ。
その靄を解きたい気持ちはあった。
でなければ、きちんと眠れそうになかったのだ。
しかし、その靄を解くには、彼女の持っているカギは少なすぎる。
開けられるドアだけでは、靄はまだ依然深いままなのだ。
だから。
本当はメイも、ハルコと話したかったのかもしれない。
こんな形で、それが叶うとは思ってもみなかったが。
自動ドアの向こうに―― ハルコがいた。
それが、昨日の夕方の出来事。
あの瞬間、メイはとても驚いたのだ。
まさか、こんなに早く見つかってしまうとは思っていなかったから。
彼女一人ではなく、ソウマも一緒だった。
何も変わらないあの夫婦が、自分を見ていたのだ。
ハルコが駆け寄ってくる。
メイが、彼女の身体を心配するより先に、いろんな言葉を投げかけられた。
突然の再会に、お互い戸惑っていた。
しかし、メイは仕事中だ。
たとえ事情を説明してくれと言われても、いまここで話すことは出来ない。
いや、どこに移動したとしても、どう説明をしたらいいのかなんて分からなかった。
ただ。
ここ数日、胸に靄がかかっていた。
その靄が何なのか、よく分からない。
巡査さんに、あの居酒屋に連れて行ってもらった日から―― いや、実はもっと前から小さな石が胸にあったのだ。
その靄を解きたい気持ちはあった。
でなければ、きちんと眠れそうになかったのだ。
しかし、その靄を解くには、彼女の持っているカギは少なすぎる。
開けられるドアだけでは、靄はまだ依然深いままなのだ。
だから。
本当はメイも、ハルコと話したかったのかもしれない。
こんな形で、それが叶うとは思ってもみなかったが。