☆
ザーッッッッ。
ソウマは、意識のないカイトを担いでいくと、服のままバスタブの中に突っ込んだ。
そして、シャワーのコックをひねった。
上の方にホールドされているヘッドから、冷たい雨が降り注いだ。
バスタブのへりに座ると、雨の余波が自分にも降りかかったが、そんなことはどうでもよかった。
カイトの顔が二度歪んで、うなりながら目を開ける。
「何で…手放したりしたんだ」
この頃には、彼もさっきまでの自分が大人げなかったことに気づいて、冷静に戻ろうと努力していた。
カイトも冷水で頭が冷えてきたのか、もう飛びかかってくるような様子はない。
うなだれて、雨を受けている。
「…つを…」
ぼそぼそっと、カイトが言った。
「あいつを…無理矢理押さえつけて…」
それが聞こえた時―― ソウマは、あいた、と思った。
ついに、カイトのガマンがキレてしまったのだ。
そして、メイにとってよくない形で爆発したにちがいない。
書き置きに、出ていく理由が書けないワケである。
「まったく…好きだと言わなかったのか?」
その言葉を出せば、うまくいきそうなものだ。
見立てでは、向こうの方もカイトを憎からず思っているハズなのだから。
たった数文字の、愛の言葉。
カイトは、力無く首を横に振った。
「…えるワケねぇ」
何が言えるワケないのか。
ソウマは、頭を抱えた。
その言葉さえ言えていれば、今ごろは大ハッピーエンドだったのかもしれないのだ。
それを、カイトは分からないのか。
ああ。
きっと分からなかったのだろう。
こんなに誰かを好きになったことは、なかっただろうから。
ザーッッッッ。
ソウマは、意識のないカイトを担いでいくと、服のままバスタブの中に突っ込んだ。
そして、シャワーのコックをひねった。
上の方にホールドされているヘッドから、冷たい雨が降り注いだ。
バスタブのへりに座ると、雨の余波が自分にも降りかかったが、そんなことはどうでもよかった。
カイトの顔が二度歪んで、うなりながら目を開ける。
「何で…手放したりしたんだ」
この頃には、彼もさっきまでの自分が大人げなかったことに気づいて、冷静に戻ろうと努力していた。
カイトも冷水で頭が冷えてきたのか、もう飛びかかってくるような様子はない。
うなだれて、雨を受けている。
「…つを…」
ぼそぼそっと、カイトが言った。
「あいつを…無理矢理押さえつけて…」
それが聞こえた時―― ソウマは、あいた、と思った。
ついに、カイトのガマンがキレてしまったのだ。
そして、メイにとってよくない形で爆発したにちがいない。
書き置きに、出ていく理由が書けないワケである。
「まったく…好きだと言わなかったのか?」
その言葉を出せば、うまくいきそうなものだ。
見立てでは、向こうの方もカイトを憎からず思っているハズなのだから。
たった数文字の、愛の言葉。
カイトは、力無く首を横に振った。
「…えるワケねぇ」
何が言えるワケないのか。
ソウマは、頭を抱えた。
その言葉さえ言えていれば、今ごろは大ハッピーエンドだったのかもしれないのだ。
それを、カイトは分からないのか。
ああ。
きっと分からなかったのだろう。
こんなに誰かを好きになったことは、なかっただろうから。