本当はイヤだった。

 しかし、イヤだと主張をしようとした途端、閻魔大王がやってくる。

『自分のしたことを思い出せ』

 自分の―― カイトのしたこと。

 メイを。

 彼女を。

 そんな男が、許されていいはずがない。

 どんなにイヤであろうとも、カイトはそうして、自分を憎み続けるしかないのだ。

 そして。

 彼女を失った。

 それが、一番イヤなことだった。

 出て行かれて当たり前だというのに、それが一番イヤなことだったのだ。

 もう、彼女を見られないことも、空気を共有できないことも、笑顔を向けてもらえないことも、すべてイヤだった。

 それでは、まるで―― メイが死んでしまったのと同じではないか。

 カイトの世界で死んでしまったのだ。

 誰が殺したコマドリを。

 私が殺した。

 私の弓で。

 私が殺したコマドリを。

 もうカイトの世界にはいない。