●158
シャンシャンシャーン。
クリスマスクリスマスクリスマスクリスマス。
メイはケーキを売っていた。
この日が、一番の稼ぎ時だ。
わざわざ店の前に特設店舗を作って、メイはもう一人の女の子と2人で立っていた。
今日の天気は晴れ。
生憎、雪は降らないということだが―― それが、こんなに嬉しい日もなかった。
たとえ、彼女らはサンタ風の衣装を着込んでいるとは言え、結局スカートである。
タイツをはいてブーツを履いていても、裾から寒風が吹き込んでくるのだ。
「早く売ってしまおうね。そしたら早く帰れるよ」
もう一人の子は、バイトが長い。
去年のクリスマスもこうだったらしい。
去年は予想外に早く売り切れて、仕事上がりも早かったという。
今年もそうだといいな、とメイは思った。
でも、去年売り切れたせいで、今年は去年よりも街頭販売のケーキの数が多いのだという。
それは、ちょっと嬉しくない材料だ。
とにかく、大きな声で呼び込まなければいけない。
そういう仕事はやったことがなかったが、やります、ということで雇ってもらったので、今更ダメだと言うワケにもいかなかった。
「大丈夫。最初の一歩を踏み出してしまったら平気だって。こっちはサンタの格好してるしね。女の子のサンタは目を引くんだよ」
励まされて、メイはすぅっと息を吸い込んだ。
「メリー・クリスマス! ケーキはいかがですか?」
シャンシャンシャーン。
クリスマスクリスマスクリスマスクリスマス。
メイはケーキを売っていた。
この日が、一番の稼ぎ時だ。
わざわざ店の前に特設店舗を作って、メイはもう一人の女の子と2人で立っていた。
今日の天気は晴れ。
生憎、雪は降らないということだが―― それが、こんなに嬉しい日もなかった。
たとえ、彼女らはサンタ風の衣装を着込んでいるとは言え、結局スカートである。
タイツをはいてブーツを履いていても、裾から寒風が吹き込んでくるのだ。
「早く売ってしまおうね。そしたら早く帰れるよ」
もう一人の子は、バイトが長い。
去年のクリスマスもこうだったらしい。
去年は予想外に早く売り切れて、仕事上がりも早かったという。
今年もそうだといいな、とメイは思った。
でも、去年売り切れたせいで、今年は去年よりも街頭販売のケーキの数が多いのだという。
それは、ちょっと嬉しくない材料だ。
とにかく、大きな声で呼び込まなければいけない。
そういう仕事はやったことがなかったが、やります、ということで雇ってもらったので、今更ダメだと言うワケにもいかなかった。
「大丈夫。最初の一歩を踏み出してしまったら平気だって。こっちはサンタの格好してるしね。女の子のサンタは目を引くんだよ」
励まされて、メイはすぅっと息を吸い込んだ。
「メリー・クリスマス! ケーキはいかがですか?」