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 待っているなんて思わなかった。

 前日は、ドアを開けたらメイはいなかった。

 だから、カイトはまた帰って来られたのである。

 なのに、待っていた。

 あんな真夜中に、カイトの帰りをずっと待っていたのだ。

 見つけた瞬間、身体が硬直した。

 何の心の準備も出来ていなかったのである。

 しかし、意識がはっきりと彼女を認識していくにつれ、胸から溢れ上がってくる痛みと熱が顔を歪ませた。

 そして、逃げた。