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　心配、させてしまったのである。

　唇が震えた。

　あやま…やまらなきゃ。

　こんな大チョンボをやって、カイトに迷惑をかけてしまったのだ。

　彼女は、震える唇を開けた。

「ごめ…なさい」

　それが精一杯だった。

　本当は何度も何度も謝ろうと思ったのに、これ以上言ったら、また涙がボロボロこぼれてしまいそうだったからだ。

　ただでさえ、さっき泣いてしまったので、きっといますごい顔をしている。

　そう言った瞬間。

　カイトは、眉を跳ね上げた。

　激しく怒っている顔だ。

　当然である。

　迷子などという、馬鹿らしいことをやらかしてしまったのだ。怒られない方がおかしい。

　メイは、身を竦めた。

　彼が、ドカドカと凄い勢いで近づいてきたのだ。
　怒鳴られると思ったら、反射的に身体がこわばってしまったのである。

「来い！」

　ぐいっと。

　怒鳴られる代わりに、いや、もう怒鳴るのと同じような音量で言われるなり、腕を捕まれる。

　痛いくらいの力で引きずられた。

「待て！」

　その凄い様相に、巡査が割って入る。

　こんな派手な迷子迎えが来るとは、思ってもいなかったらしい。

　強引な行動を止めようとするかのように、巡査は彼の肩を掴んだ。

　それを、カイトは振り払う。

　今にも巡査に食ってかかりそうな勢いで振り返る。

　あっ！

　メイは、驚いた。

　このままでは、カイトが彼に喧嘩をふっかけそうな予感がしたのだ。

　相手は巡査―― 警察官である。

　下手しなくても、公務執行妨害だ。