カップの話題がおさまったかと思うと――

 今度は、クリスマスときたものだ。

 カイトはもう、ソファの背もたれに片肘をかけてあらぬ方を向いた。

 聞こえないフリをしようとしたのである。

 怒って反応すると、ハルコを喜ばせるだけなのだ。

「今年のクリスマスは金曜日なのよ…翌日は休みなんですもの。夜にパーティを開こうかと思っているの」

 彼の反応など気にせずに、ハルコはどんどん話を進めていく。

 カイトは、まだ別の遠いものを見ていた。

 このアニバーサリー女をどうにかしろ、と思いながら。

「それでね…あなたたちをパーティに招待しようと思って」

 しかし。

 いきなり渦中に引きずり込まれる。

 カイトは、目を半開きにした。

 ソウマ家のクリスマスパーティに来いというのである。

 あの悪魔の館に。

 誰が行くかと、ばっと視線を彼女の方に戻した。

 そのままの勢いで怒鳴ろうとする。

「彼女にも、めいっぱいオシャレして来てもらって…楽しみましょうね? ちゃんとクリスマス用に服を買ってもらうのよ」

 けれど、ハルコが見ているのは隣のメイで。

 楽しそうに、詳細に話が進みかけている。

「そ、そんな!」

 その詳細に反応したのは、メイだ。
 とんでもない、と言わんばかりである。

 彼女がどの言葉に反応したのか、カイトは迷った。

 パーティに招待されたことにか。

 オシャレにか。

 クリスマス用の服を買ってもらうことに、か。

 服くれぇ!

 もしも、最後のヤツだとするならば―― いや、カイトはもう一瞬でそれを選択してしまって、セルフで怒りモードに入った。

 服くらい、いくらでも買ってやる、と。

 欲しいなら欲しいと言えばいいのだ。

 そうしたらカイトは。