●
一秒待つ。
二秒、三秒、四秒、五秒。
でも、その先は続けられなかった。
彼は、ばっと顔から手を離して立ち上がる。
「…何でもねぇ!」
言い捨てながら、その身体はバスルームの方へと消えて行った。
要するに、もう彼女と話をすることはないというのだ。
え?
いきなり放り出され、一人きりにされてしまったメイは、バタンと閉められたドアを見た。
最初の数日、一緒の部屋で過ごしたことを、彼女は忘れていない。
けれども、あの時といま違うのは、彼がお風呂から出てくるまでここにいてはいけないということだ。
もう、メイがずっといられる部屋ではないのだから。
何を…言いたかったのかしら。
後ろ髪がひかれる。
空になったコーヒーカップが乗るトレイを持ちながら、何度も彼女は後ろを振り返って―― でも、出ていかなければならなかった。
一秒待つ。
二秒、三秒、四秒、五秒。
でも、その先は続けられなかった。
彼は、ばっと顔から手を離して立ち上がる。
「…何でもねぇ!」
言い捨てながら、その身体はバスルームの方へと消えて行った。
要するに、もう彼女と話をすることはないというのだ。
え?
いきなり放り出され、一人きりにされてしまったメイは、バタンと閉められたドアを見た。
最初の数日、一緒の部屋で過ごしたことを、彼女は忘れていない。
けれども、あの時といま違うのは、彼がお風呂から出てくるまでここにいてはいけないということだ。
もう、メイがずっといられる部屋ではないのだから。
何を…言いたかったのかしら。
後ろ髪がひかれる。
空になったコーヒーカップが乗るトレイを持ちながら、何度も彼女は後ろを振り返って―― でも、出ていかなければならなかった。