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 ア然。

 引っ立てられた客人が、ドアの向こうに消えていくのを、メイはビックリしたまま眺めていた。

 男同士の友情と言うのは、何というか、彼女にしてみればひどくワイルドだった。

 本当は仲が悪いのでは、と一瞬メイは思いかけたが、そうじゃないということはすぐに分かった。

 でなければ、カイトは決して食事の席を一緒にしたりしないだろう。

 あれほど正直な口を持っている人だ。
 嫌いな人と同じ空間にいられるワケがなかった。

 逆に、ぎゃーぎゃー怒鳴りながらも一緒にいるということは、かなり親しい間柄なのだ。

 それと。

 カイトが、誰であろうが分け隔てなく怒鳴るのだということも、これで確定した。

 自分にだけ怒鳴っているワケではないのだ。
 シュウにも、ソウマにも同じだった。

 よかった。

 メイは、その事実に少しほっとする。

 彼女が、余りにカイトの神経に障っているから怒鳴られているというのとは、またちょっと違うのだと分かったからだ。

 一人、ぽつんとダイニングに取り残されたメイは、ソウマのカップにお茶を注ごうとした体勢をようやくやめた。

 ポットをテーブルに戻したのである。

 それから、後かたづけを始めた。

 カイトが出ていってくれて、一番よかったことがそれだ。
 咎められずに後かたづけが出来る。

 彼女がこういうことをするのを、本当に快く思っていないらしい。

 理解しにくい、難しい相手だった。

 後かたづけの水音と一緒に、メイはソウマとのおしゃべりを思い出していた。

 カイトが帰ってくる前の出来事である。

 ハルコは家のことがあるからと、先に帰ってしまったので、しばらく2人きりだったのだ。

 彼は、自分の知っているカイトの話をいろいろしてくれた。

 しかも、とても話し上手でメイを笑わせた。