声を立てて笑うところなど、彼は見たことも聞いたこともなかった。

 なのに、カイトのいないところで、こんなに楽しそうに。

 バン!

 カイトは遠慮会釈なく、ドアを開け放った。

 メイの驚いた目が、自分を映す。
 もう笑顔は、どこにも残っていなかった。

 クッ。

 カイトは彼女を見ないようにして、照準をもう一人の方へと映す。

 ロックオンした直後に、スカッドミサイルを何十発とお見舞いしたいくらいだった。

 メイの手前側。

 いつもカイトが座るその席に、男の背中があった。
 彼の席に座っているのだ。

 その背中が、いきなりの乱入者に驚く風でもなく、ゆっくりと振り返る。

「よぉ、元気そうだな」

 彼の憤怒の形相など見えていないかのように、にこやかな笑顔。

 こんな知り合いは、一人しかいない。

 ダイナマイトが点火された。


「ソウマ! てめー、何しにきやがった!」