□39
ふにゃっ。
カイトは、枕を抱えていた。
羽根枕はとても柔らかい。
朝、たまにそれを抱え込んで眠っていた自分に気づいて、恥ずかしい思いをするのである。
枕を抱いて眠るなんて、まるで乳臭いガキのようだ。
しかし、寝ている時の自分のコントロールなんか出来るハズもなく。
そういう時は、目覚めると頭の下にない枕を、ムカついてベッドの外に投げ捨てるのである。
昨夜も一つ投げ捨てた。
理由は、いつものとは違ったけれども。
カイトの眠れる意識の中で、それは夢のように思い出された。
溶けかけたスノウマン。
力無い枕の後ろ姿。
そして。
また、枕を抱えているだろうことに、自分の意識が気づいた。
う…。
眉を動かして、カイトは一番嫌いな目覚めがやってきたことに気づく。
朝は強い方じゃない。
昨日はほとんど眠れなかったから早く起きたが、今日は。
昨日は?
何故、自分がほとんど眠れなかったのか、いまの彼のCPUでは理由を検索出来なかった。
まだ大部分がスリープ状態なのだから。
ただ、抱えている枕をひきはがして。
腕を外し、その手で自分の顔を触る。
手の影で、度か彼は瞼を動かした。
「ふー…」
そのまま、前髪を吹き上げるように上に向かって呼吸を吐くと、カイトはようやく目を開けた。
見えるのは、自分の手のひら。
近すぎて、生命線もブレまくっている。
その手を近づけて、顔をこすって。
別に猫ではないのだから、そんなことで顔が洗えるワケではないのだが、掴むようにこめかみに握力をかけると、少し意識がはっきりするような気がするのだ。
そこで、頭が少し痛いことに気づく。
寝起きだからだ。
カイトはそう思って、ようやく顔から手のひらを離した。
瞬間。
カイトは、トム&ジェリーのトムになった。
シッポの毛まで逆立てて、目を飛び出させたのである。
悲鳴が出なかったのは、不幸中の幸いだった。
ふにゃっ。
カイトは、枕を抱えていた。
羽根枕はとても柔らかい。
朝、たまにそれを抱え込んで眠っていた自分に気づいて、恥ずかしい思いをするのである。
枕を抱いて眠るなんて、まるで乳臭いガキのようだ。
しかし、寝ている時の自分のコントロールなんか出来るハズもなく。
そういう時は、目覚めると頭の下にない枕を、ムカついてベッドの外に投げ捨てるのである。
昨夜も一つ投げ捨てた。
理由は、いつものとは違ったけれども。
カイトの眠れる意識の中で、それは夢のように思い出された。
溶けかけたスノウマン。
力無い枕の後ろ姿。
そして。
また、枕を抱えているだろうことに、自分の意識が気づいた。
う…。
眉を動かして、カイトは一番嫌いな目覚めがやってきたことに気づく。
朝は強い方じゃない。
昨日はほとんど眠れなかったから早く起きたが、今日は。
昨日は?
何故、自分がほとんど眠れなかったのか、いまの彼のCPUでは理由を検索出来なかった。
まだ大部分がスリープ状態なのだから。
ただ、抱えている枕をひきはがして。
腕を外し、その手で自分の顔を触る。
手の影で、度か彼は瞼を動かした。
「ふー…」
そのまま、前髪を吹き上げるように上に向かって呼吸を吐くと、カイトはようやく目を開けた。
見えるのは、自分の手のひら。
近すぎて、生命線もブレまくっている。
その手を近づけて、顔をこすって。
別に猫ではないのだから、そんなことで顔が洗えるワケではないのだが、掴むようにこめかみに握力をかけると、少し意識がはっきりするような気がするのだ。
そこで、頭が少し痛いことに気づく。
寝起きだからだ。
カイトはそう思って、ようやく顔から手のひらを離した。
瞬間。
カイトは、トム&ジェリーのトムになった。
シッポの毛まで逆立てて、目を飛び出させたのである。
悲鳴が出なかったのは、不幸中の幸いだった。