「二人でいても話しをするのは歩香の話し、だった。楽しそうに歩香の事を話す陰野君を見て…、心のどっかでは、気づいてたのかも、しれない…」
奈々子は目に涙をためて話しを続けた。
「昨日ね、陰野君に別れよう。って言われたんだ。」
「はっ……!?」
「『今一番大切にしたいやつに気づいてしまった』って言われちゃった。」
「…………………」
「きっと私ぢゃダメなんだよ」
「そんなっ……」
「もう敵わないよ。二人には。」
そう言った奈々子は、少し寂しそうに微笑んだ。
「今まで本当にごめんなさい」
あたしに頭を下げた奈々子に掛ける言葉が見つからなかった。
「ぢゃぁあたし行くね」
そう言い残して屋上を出た。