味方が増えたところで、こいつらは何もしてくれない。


ただ見守ることしかできないから、正直言うと頼りない。


こればかりはどうしようもないな。


僕は寝ぼけながらも下へと降りた。


目的はただ一つ。


【お年玉奪還作戦】


記憶を辿り、母親の引き出しを一つ一つ調べた。


医薬品やら絆創膏、家計簿などが出てきた。


しかし、探せども探せどもお年玉は見つからない。


そうして、上から順に探したが見つからず、とうとう最後の一段になった。


もうここしかない。


誰にも気付かれないようそっと静かに開ける。








あれ?


何もない。


何も入ってなかった。


おかしいな……もうここしかないのに。


半開きにしていた引き出しを全て開いた。


すると、黒い影がごそごそと蠢いた。


その影は引き出しに手を掛けた僕の左手を這った。


「うえっ!」


思わず声を上げてしまった。


思いきり左手を上下に振ると、その影はぼとっと落ちた。


外から差し込む日光に照らされ、その黒い影は姿を現した。


大体見当はついていたが、その正体はゴキブリだった。