自信満々に口角を上げて笑う貴方は、そんな事を口にした。


「…そーだね。」


一度も“スキ”だとは言ってくれなかった。

それは“スキ”じゃなかったから。…だよね。


「嘘つきはお前だろ。」

「そー言われたらそうかも?」


…一度も本当の気持ちを言わなかった。


「お前だけ、下手くそっつーの。」

「え?」


急に変わった話題に意味が解らず聞き返すと、貴方は目を細め言った。


「キス。」


八重歯を覗かせて、にかって効果音が付きそうな笑顔を見せる。


「ありがとな。こんな俺の事、好きでいてくれて。」

「なっ‥‥別に…」

「俺も好きだ。」

「…嘘つき。だいたい“も”って何よ…」

「だから、俺は嘘つかねぇから!いーよ、言わなくて。俺が代わりに言うし。」

「‥‥‥」


全部解ってるって顔して、そう言う貴方が悔しいくらい、格好よくて…

どうしようもなく、好き。


「なぁ、これからはさ…」

「っ‥‥馬鹿。」


もう、蝶でも蛾でも何でもいい…。


「…でも、好き。」

「うん、俺も。」


優しく笑う貴方がくれるキスが、私の心を満たしてくれる。

甘い甘い毒の様に…



―“なぁ、これからはさ…太陽の下で、会おうな。明るい方が、お前が良く見えっから。”



- END -