私が髪を触っていたら、ふと言われた台詞。

胸の奥の方がぎゅって音を立てて、締め付けられる。


「…癖だもん。治んないよ。」

「な、抱きしめてい?」

「…え、」


私の返事なんて聞くつもりないみたいで、言うと同時に、抱きしめられていた。


「‥‥ね、何で泣いてるの?」


抱き着いてきた貴方の目から零れる涙が、私の肩に染みる。


「お前が、見たことねー顔すっから…」

「意味わかんない。」


解んないよ…。


「俺の知らないとこで、俺の知らない奴と、俺の知らない思い出作ったんだろ。」

「うん、否定は出来ない。」

「だから。」

「そんな事で泣くの?あんたも一緒じゃん。」


同じ景色を生きたあの時、貴方の周りには沢山の蝶が舞ってた。


解んないよ…。

貴方の気持ちなんて。