「菜花、いるか?!」



担任が教室のドアを開けると同時に叫んだ。

ただならぬ雰囲気に、クラス全体が静まりかえる。

アタシは自分の名字を呼ばれたのに返事をしなかった。



―――しなかったんじゃなく出来なかった。

理由は分からないけど、一瞬、声が出なかった。