「ほら、今なら、守崎君しかいねぇから、急いで行け!」



アタシの背中を瑞江君がポンと押す。

アタシは動けない。



「眼鏡外す勇気出したんだろ?!
ちゃんと現実見れるようになったんだから、お前なら出来る!
ヤバかったら俺が行くから!」



瑞江君はアタシを真っ直ぐに見つめて、そう言った。

アタシは何も答えずに、一人で守崎君の所へ向かった。

足が勝手に動き出したような、魔法にかけられたような感覚だった。