でも、ある日の授業の事です。

 森本さんが、まだ校庭を一周もしていないのに、急に痙攣を起こし、倒れてしまったのです。


 驚いた生徒達が他の授業を教えていた担任の私の事も読んでくれて、体育担当の坂田先生と一緒に、森本さんの手当てに当たりました。

 もちろん、保健室の菅原先生にも協力して頂きました。

 しかし、なぜ痙攣を起こしたのか、理由は分かりませんでした。

 森本さんは持病を持っている訳でもありませんでしたし、いたって健康な体でした。

 それに、つい最近まで普通に何度も走っていたことから、急に走ったことが原因とも、言えませんでした。



 そんな結果がでても、森本さんは

 「大丈夫です。」

 とただひたすら、頑なに言い張りました。


 面倒なことになるのも困るので、私達も

 「それならば…」

 と言って、あえてこの件には触れないでおきました。




 それも、今となれば、なぜもっと聞いてあげられなかったのだろう・・と後悔してしまいます。

 きっと森本さんは教頭先生との性交への恐怖でいっぱいだったのだと思います。