だけど、私にとってはその「何分の1か」の確率でも、奏と同じだったのが運命だと思えた。



「まあ同じならタダになれるし、便利だからいいけど。ほら早くケータイ」



ポケットから、携帯電話を出してわたす。



彼は、器用に両手のほっそりした指をすばやく動かして操作をした。



――ピッ、ピピッ、ピピ!



「……よし。完了」



ほどなく、彼は自分の携帯電話を待ち受け画面にもどした。



壁紙が気になって、興味本位でちらっとのぞく。



彼のは、色とりどりのつぶつぶが炭酸みたいに弾ける、標準のフラッシュ待ち受けだった。



「ほら、できた」



返してくれた私の携帯電話は、住所録が開いていて、たしかに登録されていた。