「よしよし。いい子だ」



幼い子みたいなあつかい。



だけど、また頭をなでられて、私は顔からぷしゅーと蒸気を出さないように我慢することで精一杯だった。



気を抜いたら、温泉でもない道端で、顔に血がのぼりすぎて倒れてしまいかねない。



「で、円」



名前を呼ばれて、相づちより先に胸が鳴った。



「ケータイ、持ってるだろ?」


「ケ……あ……えっと……」


「番号交換するぞ。アドレスも」


「…………!?」




ケータイ――?




(奏が、ケータイ番号とアドレス、私に教えてくれる?)