「あっ。こっち見た」
ミッチがいった。
でも、多分、おそらく、視線は私のほう。
(だって、だってだって、ぴったり目が合っちゃってるんだもん!)
考えるほどに、身体じゅうの熱が顔に集まって火照り始める。
席まで少し距離があるとはいえ、こんなふうにじいっと見つめられると、どうしていいのかわからなくなる。
手の置きどころに困って、スカートを握りしめたり。
息を飲むタイミングがつかめずに、むせそうになったり。
千住くんのほうに身体をひねってる自分の姿勢が気になって、スローモーションみたいに、じわ~っとお尻をずらして楽なアングルに持っていったり。
「…………」
そんな私をよそに、無言で目線だけ送ってくる彼が、椅子を鳴らして起立した。