「いや、ただ単に、いいな~って思って。彼とラブラブで」


「まあ否定しないけど。でもさ、マドカ可愛いんだし。その気になったらいくらでも恋愛できるでしょうよ~。恋愛、したいんでしょ?ずっと言ってるもんね」


「…………」



できたけどって切り出せないのは、やっぱり昨日が信じられないから。



(千住くん……)



教室や、開いてる廊下側の窓を見わたしたけれど、まだきてない。



(登校してきたら、どんな顔すればいい――)



――ガラララッ。



「ウワサをすれば」とはよくいったもので、考えている最中に後ろのドアが音を立てて開いた。



瞬間的に、教室の空気がふっと変わって。



まわりの子たちが話や行動を止めて、視線を一点に集中させる。



入ってきたのは、背の高いメガネの男子、千住くんだった。





(き、きちゃった!)