みんな殺気立ってるし、クラスメートの子たちも、返答次第で那須って子の側に立ちそうだし。
この緊急事態、奏は前に「くだらねぇ」といってたけど。
私がここで恋人なんて堂々と名乗っていいのか、本人に確認してからじゃないと――。
「目撃した子がいるんだから。カフェにいたとか雨宿りしてたとか」
(どうしよう……)
アドリブがきかない。
上手い切り返しが、引き出しを何段開けても見つからない。
(目撃されてるんだし、関係ないじゃ済まされない、よね……)
打開策をいくら考えても、メビウスの輪をぐるぐる回るだけで、結局は「正直に話すしかない」という答えにしか行き着いてくれなかった。
しかも、さっきからなぜか顔全体がカッカしてきている気がする。
みるみる熱を持ってきて、立っているのさえ辛くなってきた。