……遠くでチャイムの音がする。

(…授業、終わったのかな……)


チャイムで意識だけ目を覚ます。

そして手にある寝る前にはなかったぬくもりに気づく。

…あったかい…。


少しだけ指を動かし、きゅっと手を握る。

それは大好きな手と同じ感触で。


(…この手、もしかして…)


「………翔…太……?」


ゆっくり目をあけると心配そうな表情をした翔太が顔を覗きこんでいた。

「…由香?大丈夫?頭痛くない?」


目の前で手をぱたぱたと振る翔太。

ぼーっとしていた意識がはっきり戻り始める。