「…なんでまだいるのか知らないけど、危ないから早く帰らないとだめだよー。」

そしてにこっと笑いながら言うと、翔太はそのまま教室から出て行ってしまった。

「…翔太っ!!」


慌てて廊下に出てもすでに翔太はいなくなっていて、静かな廊下に私の声だけが響く。


「………何よ…。」


今まで見てみぬフリをしていた気持ちが少しずつ溢れだす。

鼻の奥がツンとなり、唇が微かに震える。


「………なんでよ……。」


だんだん目の前がじわじわと滲み、色がぼやける。


「……翔太の……バカ……っ…。」

……声と共に、気持ちが溢れた。


なんでそんなに普通なの。

なんでそんなにあっさりしてるの。

……なんでそばにいてくれないの。


「………寂しいよ…翔太……。」