「手ぇ繋ぐくらいいいじゃんか!!」


今にも掴みかかりそうなくらいの勢いで言う翔太。

それを斉藤くんが後ろから抑える。

「まぁまぁ翔太。」

「……写真ほしくないの?」

“写真”という言葉に反応し、「くっ…」と苦しそうな声を上げながら翔太はおとなしくなった。


それを見て佳織と斉藤くんはニマニマと笑っている。


(……性悪カップルだー…)


おもわず口にしてしまいそうになるのを堪えていると、いつの間にか翔太が斉藤くんにひきずられるようにして先を歩いていた。

「ゆーかぁー!!」

「うっさい翔太!ほら、さっさと学校行くぞ。」


ずるずるとひきずられながら叫ぶ翔太とそれを連れて行く斉藤くんは、まるで泣き喚く子供と母親のようだった。