『アンジェロとは友達だったよ。僕の二番目のお兄ちゃんだもん』

「…え、でも、あなた…堕天使?」


訊いて失礼にならないかどうか不安になりながら、躊躇いがちにサーシャが問いかける。

けれど少年は気分を害したふうでもなく、爽やかに肯いてみせた。




「そうだよ。綺麗でしょ?灰色の羽。あぁあ、アンジェロも堕天使になっちゃえば良かったのにさ…」


アンジェロがあんなに堕天使になることを拒んでいたのを目にしていただけに、少年のその態度はサーシャを驚かせた。

彼は堕天使であることに、まったくの引け目を感じていないのだ。




「…でも、なんで、ここに」

「え?言ったでしょ、さっき。

あぁ…!あのね、僕たち堕天使の仕事はね、天使と違って人間を幸せにはできないの。

だから神様の雑用係ってとこなのかな」


少年はかったるそうに両手を広げて息を吐き、やれやれと首を横に振った。