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リュカ・エマニュエルの生涯は完全に幕引きした。

その残酷すぎる現実を、アンジェロ、そしてバスチアンも受け止めきれないでいた。

まるで言葉を無くしてしまったかのように、一切の会話はなく、笑うことも泣くこともなく、数週間を2人で共に過ごした。




言葉を口にしたら、泣いてしまったら、口から、目から、溢れ出る悲しみに押し潰されて、もう二度と戻ることのない渦の中に引き込まれてしまいそうだった。

ひたすら極限まで何も感じないように、考えないように、まるで無機質なロボットのように2人は崖っぷちを生きた。



起きているときはまだよかった。

それでも寝てしまうと、夢という酷い仕打ちが待っていた。

夢には抗えない。夢は自分の心そのものを如実に表現してしまうから―――。



夜中、バスチアンが寝ぼけながら狂ったように叫び泣くのをアンジェロは何度となく目にした。

そのたびに左胸がキュウ、と音をたてたけれど、それについて考えるという行為を一切封じ込んだ。












そんなふうにしてあっという間に月日は流れ、

季節が変わる頃、バスチアンがアンジェロにようやく話しかけた。