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―――タッタッタ、


バスチアンがリュカの話していた銅像のある場所にまで駆けつけると、そこに兄の姿はなかった。



「はぁ、はぁ、はぁ。…なんだ、居ないの?兄ちゃん、」


せっかく早く伝えようと走ってきたというのに。

がっかりして肩を落とす。



(…アンジェロ、)



本当に銅像になってしまったのかと、感慨深げに彼を見上げた。

父親は違えど、自分にとってかけがえのない天使の兄――誇るべき自慢の存在。

リュカだって同じだった。人間である彼だからこそ持っているものもある。

バスチアンはリュカが大好きだったし、アンジェロのことだってそうだった。




「…2人は僕の大事な人だよ」


だからいなくなっちゃ嫌なんだ。

パパもママもいなくなった今、もうこの世界にバスチアンが大切に想う人は2人だけだった。




「2人とも、大好きなんだよ…」


バスチアンは大切に握っていた一枚の羽根を見つめた。

そしてそれを高々と宙に掲げ、その向こうにしっかりと銅像の天使を見据える。