生まれて初めて両手を合わせ、自分でもどうしたいのかよく解らないままに祈った。

聖母マリアの像はやはり目を伏せていて、それでも静かに微笑んでいる。




「…アンジェロを助けて、助けて、ごめんなさい。ごめんなさい。友達だったんだ…失うなんて嫌だ、ごめ、なさい」


膝をつき、頭を垂れる。

情けなく嗚咽が漏れ、綺麗な床にポタポタと涙が落ちた。




―――コロン、

体を揺らして泣いていた拍子、ポケットから何かが転がった。

リュカは膜の張った歪んだ視界の中、その正体を目で追う。












「―――…そうか」













必死に手にとって、それと目の前のマリアとを見比べ、アンジェロの笑顔を思い起こした。












そして突然泣くのを止め、ゆっくりと微笑む。














「…俺は取り返しのつかない罪を犯しました」


ポツリと低い声で呟く。

同時にツー、と両目から一筋の涙が零れる。







「…だからもう、救われようなんて思っちゃいけない」


ごめんなさい。そう最後に呟くと諦めたようにリュカは笑った。