(…アンジェロ、アンジェロ)



夜の街を走りながら、彼に会いたくてたまらなかった。

それでももう二度とその笑顔が見れないという事実に気が狂いそうだった。



(…俺が、俺が消えろなんて言ったから)












――――アンジェロの像

それはさっきと寸分違わぬ位置でそこに立っている。

リュカはそれを見上げ、唇をきつくきつく噛み締める。



(…俺はどうしたら)



どうにも出来ない。

ああ、ほんの数時間でいい。時を巻き戻すことさえできれば。

アンジェロは自分に責められていたあの時、一体どんな気分で、どんな想いで、こんな銅像になったのだろう。



(…一番最低なのは俺じゃないか)



失ってしまった友達は、二度と戻らない。

見上げたアンジェロの表情は歪んでもいなければ微笑んでもいなかったけれど、その瞳の奥は哀しげだった――――。