「…そ、それにね、ショックを受けたアンジェロのパパは、彼を捨てて悪魔になっちゃったんだって」
「…………」
「…ァンジェロ、凄く悲しそうに……泣いてたよ」
(…そんな)
リュカだけは僕のためだけに居てほしい―――そんな風に言ったアンジェロの気持ちが今になってやっとわかる。
―――お前は俺以上に独りぼっちで、寂しかったんだな
「…俺、あいつに酷いこと、」
「兄、ちゃん、」
肝心なことに限って、どうしていつだって見えなくて、気づいたときには取り返せないんだろう。
優しい天使の友達を傷つけて、死に至らしめてしまったんだ。
(…もう、後悔したって遅い)
「…バスチアン。
堕天使だってことを恥じるな」
「え、」
「お前は何も悪くない。…自分自身に、誇りを持てばいいよ」
「…兄ちゃん、」
「お前は俺なんかよりずっと立派な弟だったよ―――いつだって、」
「――――兄ちゃん!どこいくの!」
リュカは再び外へと走り出してしまった。