何も言えずにうつむく俺に
伊織は泣きながら笑って見せた。


私は全然平気!!


そんないつもの明るい笑顔を
俺に見せてたんだ。



何も出来ない俺に気を使って、
そして自分を傷つけないように・・・


まるで今、何もなかったかのように、
伊織は笑顔で部屋を出て行った。



俺はただそんな伊織の背中を
見送ることしかできなかった。