オレの家に着いてからも、明日見は手紙を1枚1枚読んでいた。


真剣な横顔からは、何を考えているのか、想像も出来なかった。


「私ね、見つけ出して復讐してやろうと思ってたんだ。」

唐突に明日見は言った。
オレは、黙って聞いていた。

「今、幸せな生活していたらメチャクチャにしてやろうって、思ってたの。」


明日見は、ここで溜め息をついた。

「でも、その気も失せちゃった。復讐なんてバカバカしいよね。もちろん、会いたいとも思わないけど。」


「会ってみたら、どうかな?」

明日見は、驚いた顔をしてオレを見た。

「会えたら今の気持ちをぶつけたらいい。辛かったと言ってやればいいじゃないか。」

「どうやって捜すの?」
「明日、もう一度家に何かないか探してみよう。」

そう言うと、オレは夕食を作るために台所へと向かった。

明日見は、オレの後をついてきて隣に立った。

「光ちゃん。本当にありがとう。私が何か間違ってたら、ちゃんと連れ戻してね。」

オレは何も言わなかったが、明日見を守る事は人生最大の使命だと分かっていた。