「じゃあね。バイバイ。」

弱々しく微笑みながら言った。

明日見は、今まで「バイバイ。」とか「さよなら。」と別れを連想させる言葉を言った事がなかった。

いつも、「またね。」と再会を約束した言葉だったから、オレは安心出来たんだ。


「どうしたっていうんだ!? なんで、急に現れて、しかも理由も言わずに出て行こうとするんだ!」

オレは、声を荒げた。
きっと、近所の連中に聞こえる位な大声だったであろう。

そんな事は構わなかった。

明日見は、ただ無表情であった。

ただ、黙って聞いていた。

「もう、ここへは来ないつもりなんだろう? オレが何かしたのか?」

明日見は、黙って首を振った。

「じゃ何故?」


「前にも言ったよ。皆、私の前からいなくなっちゃうって…」


「オレは、目の前にいるじゃないか!」

また声を荒げてしまった。