オレが子供の頃の夢は“料理人”か“大工”だった。


何か物を作りあげる仕事がしたかった。


しかし、実際には自動車会社の経理部だった。


いつも相手にするのは、パソコンだけであった。


挨拶だけで、他の会話をしない日が多々あった。

それが別に苦痛ではなかった。


なんて、薄っぺらな人間関係だったんだろう。


企業なんて物は、誰かがいなくなったって、ちゃんと機能するものだ。


その点、明日見はすごいと思う。

あのコーヒーの味は明日見にしか出せない。

だから、わざわざ買いにくる客がいる。

オレにとってもそうだ。
明日見は、オレにもう一度夢を見せてくれた。