明日見は、祖母が作ってくれたという黒地に花火の模様が入った浴衣を着ていた。


夜の明日見は、妙に女の色気があった。


会場はやはり混んでいた。

明日見は、オレの手をギュッと痛いほど握り、花火が見やすい場所へと誘導していく。


やっと見やすい場所に到達して、二人並んで腰を降ろした。


でも、明日見はオレの手を離そうとしなかった。

そして、オレの肩に頭をもたれかけた。

やっぱり、目を瞑り辺りのざわめきを聞いているようだった。


一発目の花火が空に咲いた。

しかし、明日見は目を開けず、5発目にやっと空を見上げた。


「この花火、天国のおばあちゃんにも見えてるかな…」

「見えてるよ。こんなに大きくてキレイなんだから。」