「光ちゃーん!」

大きな声がして、台所から顔を覗かせると、明日見が、顔を赤く上気させてきた。


「今夜、見に行こうよ!」

何かの広告を、オレの目の前に差し出した。

あまりにも近かったので、広告を手に取り見てみると


“花火大会”

の文字が目に入った。


「ねぇ、行こうよ。」

明日見は、オレのポロシャツの裾を引っ張って訴えた。


「混んでるぞ。」

行くと分かっているくせに、ほんの少し意地悪を言ってみた。


「じゃ一人で行くよ。」
予想外な答えだった。


「イヤ、一人じゃ危ないよ…」

しどろもどろになると

「フフ。引っかかった。」

明日見は、ニーッと笑った。

「光ちゃんは、私の頼みは絶対断らないもん。」

勝ち誇った笑みを浮かべた。

オレはただ苦笑いするしかなかった。