あんなこと?
単純にそう思った。
俺には、さっぱり“あんなこと”の意味が分かんなかった。
「…あたしに『別れろよ、ブス』って言ってきたんだよ」
「…は?」
「まだ、舜のこと好きだよ」
実紅はそう言うと、静かに自分の席に座った。
まるで、俺に決断してよと言うかのように…。
あさきは…完全に実紅を狙い、俺と別れさせようとしている。
「…ほらな、実紅ちゃんに宣戦布告してるって言ったろ」
後ろを向くと、
そこには涼介がいた。
……いつのまに。
「あいつの性格は、いつまでたっても、まったく持って全っ然変わんねーのな」
「…なんで分かんだよ?」
涼介のやつ…もしかして。
「今日さ、すれ違ったから、少しお話させていただきましたー」
…やっぱな。
涼介は行動早ぇからな。
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