「か、帰るよっ」
舜が聞く前に帰ろうと思ってたっつーの。
いちいち言わなくても…。
「…ブツブツ1人で、なに言ってんの?」
「ぶ、ブツブツなんか…っい、言ってないし…っ」
「ふーん」
興味ないのかい!
だったら、そんな話をあたしに振るなよ!
舜はあっという間に靴に履き替えて昇降口から出ていた。
…いつの間に?
あいつは忍者か?
彼女のあたしを置いてくなんて…いい度胸じゃないの。
あたしだって
このまま引き下がるわけにはいかないんだからね…?!
高校二年生 高畑実紅。
みんなに天然ってからかわれたりMとか言われてるけど…。
今日から少し強気でいくことに決めたんだからっ!
今のうちに
せいぜい、あたしを天然天然ってからかってるんだね。
「…顔、ヤバい」
「え…っ!?」
「ニヤニヤしてて顔がヤバくなってるよ」
カッチーン。
頭に来たけど…言い返せない。
当分、舜には勝てそうにない。
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