あれから披露宴も無事に終わり、あたしと舜は舜が住んでるマンションで和んでいた。
このマンションは、舜が大学卒業してから一人暮らししているマンションで
そしてこれから、あたしと舜の新しい住居になる場所でもある。
そしてふと気になり聞いてみた。
「婚約者ってさ……今朝出したんだよね?」
「お前何言ってんだよ。一緒に出しに行っただろ」
「だ、だよね」
舜の冷たい視線に耐えながらも
今日届いた自分の荷物を片付けてしまおうと整理していた。
今日から夫婦。
昨日までは彼氏彼女。
今日からは雨宮実紅。
舜と同じ名字。
何か嬉しくて顔がついニヤケた。
「一人でニヤケてんのも、これから毎日見るようになるんだな」
嫌みたっぷりのその言葉は、あたしの頭上から聞こえてきて、あたしの頭に温かいコップが置かれた。
あたしの好きなコーヒーが、あたしの手元にはあった。
それで、あたしの胸がキュンとしたところで舜も荷物を片付けるのを手伝ってくれた。
…だけど。
後ろから舜に抱き締められた。
「…な、なに?」
「今日は覚悟しとけよ」
覚悟しとけよ。の意味が分かったあたしは最高に恥ずかしくなった。
今日は眠いから寝たいのに。
たぶん眠らせてもらえない。
だから一応聞いておこう。
「…どういう意味?」
「明日仕事休みなんだよ。だから、朝まで抱いてやるから覚悟しとけって意味」
聞かなきゃよかった……。
そう思いつつ、塞がれた唇は素直だった。
―END―