小さな箱に入れ直した指輪を再び取り出しあたしの手のひらに乗せて指輪を握らせた。



いつも意地悪なくせにこういうときに限って真剣な顔をする舜は相変わらずズルい。



胸にキュンときちゃうのに、嬉しくて涙出ちゃうかもしれないのに



余裕で真剣で落ち着いて大人な舜はどこまでもあたしの期待を遙かに越えてしまう。



そんな舜が落ち着いたいつもより優しい声で呟いた。



「この前のペアリングとこれ付けとけよ」


「…2つ?」


「ああ。これは俺は持ってないからペアじゃない」



何でこの前ペアリングを買ってもらったのに今日この指輪をあたしに付けとけなんて言うんだろう。


無くしたらヤバいから?

結婚指輪だから?


………いや、結婚指輪はさすがに無いと思うけど。



「俺のものって印だから」

「………え?」

「その指輪」



舜の言葉の意味が理解出来ず
そっと手のひらを開けて握った指輪をじっくり見つめていた。



……ん?何これ…。



そこには“mine”と施されていた。



「mineって…私の、って意味だよね?」



何も言わず表情すら変えない舜を見てそういう意味だと言ってるような気がした。



その意味を理解するまでにはそう長い時間はかからず
あっという間に舜の匂いに包まれるように抱き締められていたのでした。



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