◇◆◇◆実紅◇◆◇◆
「ハァ…ハァ…」
壁に沿って崩れ落ちてるあたしはやっと舜の唇が離れた後、新しい空気を吸うように肩を上下に揺らしていた。
もう自力で立っていられないくらいあたしの体力は舜のキスによって吸い取られた。
膝立ちしてる舜はあたしを余裕な顔で見下ろしてくる。
「ひどいよ…」
「は?」
「最後に……こんなキスするなんて」
これじゃあ、これから離れて会えない時がもっと辛くなる。
触れられないのに、最後にこんなキスされたら忘れられない。
あたしがもっと辛くなるだけなのに。
余裕な表情の舜に少しムカついた。
「誰が最後なんて言った?」
「え?だって最後じゃ…」
「最後なわけねぇだろ。大学行ったって会いたくなったら会いに行くし、会いに来いよ」
けど舜がそんな事思ってるなんて知らなかったから。
心の中でムカついたなんて思っちゃってごめんなさいと謝った。
だっててっきり大学行ったら最低四年間は会えないものだと思ってたんだもん。
「それから、ひとつ言おうと思ってたんだけど」
しかも急に舜が真剣な表情になるもんだから、こっちまで真剣になってしまう。
それより言おうと思ってたことって……何なんだろう。
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