◇◆◇◆実紅◇◆◇◆



遠距離恋愛っていうのは簡単じゃないことぐらい分かっていた。


だから、覚悟してたし自分なりに我慢もしてた。


だけどそれでも、簡単なことじゃないって分かっていても、考えた以上に辛かった。



苦しいのが現実で
寂しいのが現実で

苦しくて辛くて痛くて



冬休みの間は何をしてたか
まったく覚えてない。



ただ一つ覚えているのっていったら舜と過ごしたクリスマスだけかもしれない。



他には何も覚えてない。



あたしの記憶力は冬休みの間は消えていて、舜が帰ってきた冬休み明けから

またいつもの生活が始まった。



冬休み明け前日、舜は大きなキャリーバックを片手に帰ってきた。


さすがにその日は泣かなかったけど、夜は覚悟してた。


電車から降りてきた舜は、あたしに気付いてすぐに


『今日は眠らせねぇからな』とだけ言い、あたしの手を引いて寮へと向かった。


もちろん覚悟してたから驚きはしなかったけど


久しぶりってこともあって心臓はバクバクと破裂しそうな勢いで脈を打っていた。



それと同じくらい舜も脈を打ってるのに気付いたのは一つになるのと同じ時くらいだった。



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